プラークコントロールの両輪は?
 セルフケアとプロフェッショナルケアです。
セルフケアは、ブラッシング、フロッシング、フッソ入り歯磨き粉やキシリトールの使用、 砂糖摂取の量や回数のコントロールなどで、各個人が日常的に行うことのできるプラークコントロールです。
 これは虫歯や歯周病予防の基本となりますが、どの程度できているかは個人差があります。また、きちんとできているようでも、どうしても清掃しにくい個所があるのも事実です。歯と歯の間や歯と歯肉の境目の溝などは汚れを取るのはなかなか難しいため、このような場所については歯科医や歯科衛生士により特殊な機械で清掃することが必要です。
 歯科医に定期的に通院し治療が必要な個所があるかどうかをチェックしたうえで最小限の治療をおこなう。これに加え、セルフケアでは十分清掃できない部分を含め全体的にきれいにする。これらのことをプロフェッショナルケアと呼んでいます。
 特に、 PMTC(professional mechanical teeth cleaning)と呼ばれる専門家による機械的清掃は、定期的に行うことにより、理想的なプラークコントロールを実現することが出きるでしょう。
 セルフケアとプロフェッショナルケアをよいバランスで両立させることは、健康で美しい歯を維持するために必要なことです。
 
外科矯正について
 外科矯正とは顎の骨を移動する手術を併用して行う矯正治療の事です。
顎の骨が大きくずれているために上下の歯並ぴがうまく咬み合わず、矯正治療のみでは十分に改善できない患者さん(顎変形症)が治療の対象となります。手術の前に矯正治療を行っておき、手術で顎を移動したあとに良く咬める状態を作ります。手術前後の矯正治療に加え入院も必要なため、治療には矯正歯科医と口控外科医の連携が欠かません。口腔外科医と綿密な連携の取れる矯正歯科医院では、顎変形症の外科的矯正治療は健康保険が適応されています。
 
矯正の早期治療
 個々の歯にブラケットと呼ぱれる装置を装着して永久歯の歯並びを改善する矯正治療(本格矯正)は、顎の成長がほぼ完了し、永久歯の歯並ぴも完成してから開始します。
 しかし、 永久歯の歯並びが完成する以前から矯正治療(早期治療)を開始するべき患者さんも少なくありません。
 早期治療の方法は不正咬合の種類や原因によりさまざまですが、一般に、 歯と顎の大きさのアンバランスや、上下顎の位置関係など骨格のアンバランス、あるいは舌や唇など筋肉のアンバランスがある場合に、それらのバランスを改善し成長過程での悪化を防ぐ目的で早期治療を行います。早期治療によって成長期間中のさまざまな間題を解決しておく事で、より良い治療結果に導けるような場合、小学校の低学年からでも治療を開始します。
 ただし、短期間で早期治療の目標が達成できる場合もあれば、治療が長期にわたる場合もあります。また、早期治療の後は成長の観察を経て永久歯列完成後にはやはり本格矯正治療を必要とする場合が多く、早期治療をしたからといって全体の矯正治療期間が必ずしも短くなるわけではありません。
 患者さんの状熊により、早期に治療を開始す る事によって患者さんにとってメリットが多いと考えられるばあいに早期治療を行います。
 早期治療が必要かどうか、早期に開始した場合のメリット・デメリットはなにか、矯正専門医に相談してみる事をお勧めします。
 
矯正治療の記録
 矯正治療では、時間をかけて歯の位置を変化させます。そのため、治療期間中は刻々と変化していく歯並びやかみ合わせの様子を記録していく必要があります。
 記録の方法にはレ ントゲンや歯型を取る方法もありますが、一番頻繁に行うのは写真によるお口の中の記録 です。矯正治療の患者さんであれば、毎回の通院のたぴに、あるいは数ケ月の間隔でお口の写真を撮影していることにお気づきでしょう。
 いろいろな方向からのかみ合わせの状態や、上下の歯並びの状態などを記録します。その際、視野をひろげるための器具で唇を引っ張ったり、お口のなかに鏡を挿入したりしますので、患者さんには少しぱかり負担をかけることになります。しかし、こうして記録した写真は治療のために大切な資料となり、 患者さんの治療に役立っているのです。
 初診時からどのように変化しているか、前回の治療の効果は十分に達成できているか、次 回はどのような処置が必要か、以前なかった新たな間題が生じていないか、治療が思い通りに進まない場合はどこに間題があるかなど、毎回の記録をチェックすることによって患者さんの治療に反映することができます。また、過去の写真を見ながら治療を振り返ることにより、どこがどのように改善しているのかを知ることができるので、治療経過の説明時にも役に立ち、患者さん自身も治療の成果を理解しやすいでしょう。
 決して趣味で撮影しているわけではありませんが、写真を眺めながら患者さんの治療成果を確認できるのは担当医にとってもとてもうれしいものなのです。 矯正治療の記録には写真撮影が欠かせません。
 治療にあたってはご協力どうぞよろしくお願いします。
 
矯正治療中感じる痛み
 歯列矯正は、矯正装置が発揮するカを利用して歯を動かす治療のため、装置や歯にかかるカによって痛みを伴うことがよく知られています。
 矯正治療中に感じる痛みは2種類に分けられます。
 装置がお口の粘膜にあたることによる物理的な痛みと、歯が勧くことに対する体の反応としての生理的な痛みです。粘膜を避けて装置を装着しても、歯の移動に伴い装置と粘膜の関係が変化し、ワイヤーの先端などが粘膜にあたってしまうことがあります。
 このような物理的な痛みの原因は簡単な調節で取り除くことができますし、応急処置として、あたっている部分のワイヤーをガードするためのシリコンなども有効です。しかし、 歯が動き出すための生理的な痛みは避けることができません。
 初めて装置をつけた後や、定期的な調節の後には、歯が浮いたような感じがしてかみしめにくなります。ただし、感じる痛みには個人差があり、4、5日間物が食べにくかったという人もいれば、全然痛く なかったという人もいてさまざまです。また、ずうっと痛いわけでもなく、最も痛いと感じるのは最初の頃で、治療の経過とともに痛みを感じなくなります。
 さらに最近では、矯正材料の改良により軟らかいカを利用することができるようになったため、痛みの程度も以前の治療に比べてかなり楽になっているようです。
 なにより、小さい子供たちもたくさん矯正治療を受けているということは、みなが我慢できる程度の特別な痛みではないということを教えてくれています。
 矯正治療は痛いからイヤといわず、どのような痛みかを知ることで乗り越えられる決して高いハードルではないと思いましよう。
 
矯正治療中に転居される患者さん
 ご存知のように、矯正治療が完了するまでには数年の定期的な通院が必要です。
しかし、 治療期間中に患者さんがやむを得ず転居される場合、転居先によっては通院中の矯正歯科医院に通院できなくなる場合があります。
 治療完了まで患者さんをフォローできないのは担当医として大変残念なことですが、転居先の近隣の先生に治療の継続をお願いする(転医)ことは少なくありません。このような場合、治療継続依頼の書類を転医先の先生宛て に作成し、これまでの治療経過、治療費、今後予想される治療内容などをわかりやすくまとめ、初診時の検査記録を添えて治療を引き継ぐのが一般的です。
 転居される可能性のある患者さんには、治療開始前に転医についてあらかじめ知っておいていただきたいことがいくつかあります。それは、転居先の近隣に矯正歯科医がいない場合があること、転医する矯正医の使用している奘置やテクニックがこれまでの治療と異なる場合があること、転居される地域や施設によって治療費が異なること等です。
 そのため、直接面識のない先生でも学会名簿等を調べて転医する可能性もありますし、治療方針の変更により装置をつけかえる可能性もあります。また、多くの場合、転医先でもあらたに治療費がかかりますが、 治療のどの段階で転医されるかによって転医先での継続治療費は異なりますし、今までの治療費の一部を返却できる場合もあります。
 転居しても遠方から通院してくださる患者さんもいらっしやいますが、突然の転勤などにより治療途中で通院できなくなる可能性のある患者さんは、どのタイミングで治療を開始するべきか、矯正歯科医とよくご相談ください。

 
矯正装置をつけるまで
 今回は矯正治療を始める患者さんが矯正装置をつけるまでの流れを説明します。治療方法 により異なる場合もありますのであくまでも目安ですが、一般的には次のような流れに沿って行われます。
◆ 第1回目:矯正診断
 気になる点ついてご相談ください。矯正治療の必要性、開始の時期、 治療方法や期間、治療に用いる装置、費用などについて、患者さんのお顔とお口を診査してできる範囲の概要を説明します。
◆ 第2回目:検査
 矯正治療を開始するにあたって必要な検査(診査、レントゲン写真、歯並ぴの型取り、顔や口の写真など)を行います。
◆ 第3回目:診断
 検査の結果に基づいてどのような間題点があるのか、それに対してどう対処していくべきかを分析し、診断と治療方針を詳しくお伝えします。
◆ 第4回目:装置の準備
 装置によっては準備の必要がない場合もありますが、矯正装置を装着するための準備と歯磨きの仕方の練習などをします。
◆ 第5回目:装置の装着
 装着する装置の種類によっては 数回に分けて装着する場合もあります。装置がついたらいよいよ治療の開始です。これ以後は定期的に通院していただきます。
 以上のように初診時から治療がスタートするまでには数回の通院が必要です。診断の結果によっては装置の装着前に虫歯の治療や抜歯を優先させますので、さらに時間がかかる場合もあります。矯正治療後のすばらしいゴールをめざして、きちんとしたスタートを切りましょう。